2011/07/22

中村とうよう

中村とうようさんが亡くなった。自殺だそうである。以前にコレクションのレコードや資料を寄付されたという記事を読んだときに生きる情熱が消えたのかなと思った記憶がよみがえった。僕もかなりの収集癖があるけれどこれがなくなる(整理して寄贈する・・・友達に分け与える・・・等々)時はかなり生への執着が無くなった時だと思うので危険信号だと思う。たいていの人はこの「中村とうよう」という人物を知らないと思う。今の「ミュージック・マガジン」の創刊者(当時は「ニュー・ミュージック・マガジン」)である。今のミュージック・マガジンは正直僕には良くわからない雑誌ですが(いまだに惰性で40年以上買っている)、創刊されたときは実に面白い革命的な雑誌でした。なんといってもその月に発売されたレコードを100点満点で採点したこと。これが偏差値世代に受けた。そのころから発売されるLPレコードがどんどん増えたので買う時にこの点数は役に立った。ただ採点者の癖(性格)を考慮しないと失敗することになる。それと「フォークからロックへ」とか「カントリー・ミュージックは嫌い」とか一刀両断に決め付けるところがあって、当時はそれが面白かった。音楽評論家になりたいと思ったのはそのころである。ただなんか段々ととうようさんの切れ味が鈍くなって(というか僕の感覚と合わなくなって)、あんまり彼の主張を読まなくなった。あんまり音楽をどうのこうの分析することに意味がないように思えることも増えてきた。サラリーマンになって仕事の方が面白くなっていったこともある。それで段々「中村とうよう」という人の存在も忘れていっていた。今までの著作をまとめて読もうとも思わないけれど、1969年本屋で変な雑誌を見つけて買ってむさぼるように読んだことを昨日の事のように思い出す。 「ニュー・ミュージック・マガジン」を創刊した功績は永遠に残ります。あの時にあの本を出したということが出版の歴史に残ると思う。レコード評だけでなく他の記事も実に面白かった。



0 件のコメント:

コメントを投稿